日本短編映画「BAKEMONO」

主演ハル役:OBAの「撮影中日に思うこと」

11月27日に「BAKEMONO」の撮影が始まって、アッと言う間に中日を迎えた。
この撮影の日々を振り返るにはまだ早いとは思うけれど、今しか感じられない感覚を文章にしておきたい、と思った。

まず、映画の醍醐味は「過程」にあることを、しみじみ感じた。
それはまるで、少年少女たちが持つような、「極まりない純粋な衝動」とでも呼ぶべきものであった。

映画を創るという行為そのものに、ドラマがある。
制作陣・演者陣が互いに堪ふる限りの力を尽くし、切磋琢磨していくことで生まれるドラマ。
「BAKEMONO」の現場では、関わる人たち全員が、そのドラマを求めて参加しているのだ。
制作陣・演者陣だけではない。
撮影期間中、同じ屋根の下の住人にしてくれた旅館のご主人や女将さん、食事の面で協力してくれたカツ丼屋さんやお弁当屋さんのご主人など、映画を創るという場を提供してくれたすべての方々も、同じだと思う。

「BAKEMONO」には、誰かに命じられて参加している人は、一人もいない。
それにも関わらず、みんな、悩み、苦しんでいる。
そして、その悩みや苦しみを凌駕するような、参加者一人一人の「映画を創る」という衝動が、水輪のように自然と広がっている。

その輪の大きさとは、「資金がいくら」とか「誰々が参加している」とか、そのような二次的なことではなく、一次的な「 想い」の大きさだと思う。

また一人、また一人、と広がっていく輪。
静かに、揺るがない足取りで広がっていく僕らの輪は、
この世界に何らかの「残響」を響かせるかもしれない。
そんな可能性を感じる、撮影の日々だった。

堪ふる限りの力を尽くし、生きる。
それが実感できる、「BAKEMONO」の現場。
明日から、ふたたび撮影が始まる。
さらなる大きな輪に向けて、さらなる大きな投石を。

やりきるのみだ。

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